マクレーン ジェシカを尋ねて三千里

 あれっきり、そう、ギザロフの野郎を倒したあの日からオレは追いかけてきた。諦めたハズのあの人を。
しかし確実に足取りを追っているにもかかわらず追いつかない、それどころか見失ってしまった。
そういえばここで思い出したことがある。あの人は、ジェシカさんはテレポートが使えるんだった事を・・・。
マクレーン「何であの時気がつかなかったんだ・・・」
 後悔していても始まらない、とにかくジェシカさんの行きそうなところを・・・。
そんなことを考えながら歩いていると突然何かがぶつかってきた。
オレは平気だったが相手は少し遠くまで吹っ飛んでいた。いくら何でも吹っ飛びすぎじゃねえか?
マクレーン「お、おい大丈夫か?」
 そいつは頭をさすりながらゆっくりと起き上がろうとしていた、ん? こいつはもしかして?
マクレーン「レイチェルか?」
レイチェル「ひぃ〜ん・・・痛いよぅ・・・」
 半べそをかいている、今にも泣き出しそうだ。
マクレーン「お、おい、しっかり」
レイチェル「ちょっと、危ないじゃない! ちゃんと前見て歩いてよね!」
マクレーン「すまねえ、ちょっと考え事してたみたいで」
レイチェル「あれ、マクレーンさん?」
 今気がついたのか?
レイチェル「どうしたの? こんなところで」
マクレーン「それはこっちのセリフだぜ。確かカコンシスに戻ったって」
レイチェル「えへへ、お兄ちゃんに会いに来たんだ」
マクレーン「あぁそうか、大将がこっちに来てるんだったな」
レイチェル「お兄ちゃんあわてん坊だから忘れ物を届けに来たんだよ」
マクレーン「忘れ物? 何を忘れたんだ? 手ぶらじゃないか」
レイチェル「えへへ・・・」
マクレーン「まさか・・・」
 もしやと思いレイチェルに指を指す、するとレイチェルの顔が真っ赤になった。
ついでになぜか少し困ってるような感じだ・・・なんでだ?
レイチェル「もう、マクレーンさんったら〜恥ずかしいこと言わないでくださいよぅ」
 そんなこと言ったっけか? 指は指したが・・・。
レイチェル「でもマクレーンさんだから許して上げるね」
マクレーン「そ、そいつはどうも・・・」
 しばらく見ないうちに大胆かつ積極的になったな・・・大将、あんたも頑張れよ。
レイチェル「マクレーンさん?」
マクレーン「なんだ?」
レイチェル「ジェシカさんには会えましたか?」
 はっ! そうだ! こんなところで時間を潰すわけにはいかない!
マクレーン「レイチェル、またな!大将によろしくいっといてくれ!」
 きびすを返し走り去る、先を急がなくては!
レイチェル「あ、マクレーンさ〜ん! ジェシカさんの行った場所わかりますよ〜」
 なんだって!? オレの足がピタリと止まった、そして元来た道を戻ってきた
マクレーン「レイチェル本当か?」
レイチェル「本当だよ。あたし嘘つかないもん」
 両手を腰に当てややふんずりかえってみせる。
マクレーン「よし、早速行こう」
レイチェル「あ〜んちょっと待って! お兄ちゃんに・・・」
マクレーン「頼む、こっちを先にしてくれ! 一刻を争うんだ!」
レイチェル「・・・くすっ、マクレーンさん本当にジェシカさんのことが好きなんですね」
マクレーン「あ、いや、その・・・」
レイチェル「うん、わかりました!じゃあ早速ジェシカさんのところに行きましょう!」
マクレーン「で、どこにいるんだ?」
レイチェル「えっと・・・フィジット港です」
マクレーン「フィジットか・・・そう遠くもないな・・・」
レイチェル「でももう出航時間かなぁ?」
マクレーン「出航?」
レイチェル「ジェシカさんこっちでの用事が済んだからエルサリアに戻るって・・・」
マクレーン「なっ! 初耳だぜ! い、いつ出航なんだ!?」
レイチェル「だからもうすぐ・・・」
マクレーン「もうすぐっていつだ?!」
レイチェル「マ、マクレーンさん・・・!」
マクレーン「どうした!?」
レイチェル「あ、あの・・・」
 いかん、迫りすぎた。こんなところを大将に見られでもしたら・・・。
ランディウス「マクレーン! レイチェルに何してるんだっ!」
 って怒り狂って・・・って?
ランディウス「マクレーン!」
マクレーン「た、大将、実はコレには深いわけが・・・」
レイチェル「お兄ちゃん〜!」
ランディウス「レイチェルっ!」
 レイチェルはランディウスの元へ走っていく、そして思いっきりその胸に飛び込んだ。
レイチェル「お兄ちゃん・・・」
ランディウス「マクレーンに何かされたのか?」
レイチェル「マクレーンさんったらね・・・いきなり」
マクレーン「こらこらこら、そこ、何言ってるんだ」
 一応本当のことだが・・・。
ランディウス「マクレーン! 悪いがレイチェルは諦めてくれ・・・マクレーンとは戦いたくない」
 なんだかややこしくなりそうだな・・・仕方ねえ・・・。
マクレーン「わかった、あきらめる」
ランディウス「おぉ! マクレーンわかってくれたか! ありがとう」
 感謝いっぱいの笑顔をオレに向ける。大将は単純だからYESかNOで大概はケリがつく。
しかし妹を可愛がるのも程々にしなよ、と言っても今は彼女か、義妹でよかったな大将。
マクレーン「ところで大将、何か忘れ物をしたのか?」
ランディウス「あぁ、レイチェルが届けてくれた」
マクレーン「何を忘れたんだ?」
ランディウス「・・・」
 大将の顔が赤らめた。
マクレーン「か、かなわねえな大将には・・・」
ランディウス「と、ところでマクレーン、ジェシカさんは見つかったかい?」
マクレーン「あ、しまった! また遅れた!」
ランディウス「ん、どうした? 急いでるのか?」
マクレーン「仕方ない・・・・・大将、頼みがある」
ランディウス「なんだ? 遠慮せずに言ってくれ」
マクレーン「レ、レイチェルを少し貸してくれ」
ランディウス「・・・・・」
マクレーン「・・・・・」
ランディウス「レ、レイチェルは渡さないぞ!」
マクレーン「違う違う」
レイチェル「お兄ちゃん・・・頑張って・・・」
マクレーン「こらこら」
 あ〜面倒だ、時間がねえ・・・。
マクレーン「レイチェル! 頼む、テレポートでフィジットに連れていってくれ! 時間がないんだろ!?」
レイチェル「あ、そうだね、わかったわ!テレポートっ!」
 白い輝きと共にオレとレイチェルはその場から消え去った。
ランディウス「レ、レ、レイチェルー」

フィジット港

 海の匂いがする・・・。
間違いない! ・・・と思うが・・・。
レイチェル「はい、着きましたよ」
マクレーン「フィジット港か?」
レイチェル「もぅ、マクレーンさんったら疑り深いんだから〜」
 妙だな・・・血の匂いもする・・・。
レイチェル「きゃーっ!」
マクレーン「どうしたっ!」
レイチェル「あ、あれ、あそこっ・・・」
 レイチェルの指さした方向には大勢の人の骸が・・・って。いや、違うあれは魔物の骸だ。
それが点々と港中に散らばっていた、一体何があったんだ!? まさかジェシカさんの身に何かあったのか!
レイチェル「ど、どうしよう・・・」
マクレーン「とりあえず大将のところに戻ってこのことを伝えてくれ」
レイチェル「う、うん。マクレーンさん、気を付けてね」
マクレーン「ああ、わかってる」
 言い終えるとレイチェルはテレポートで大将の元に帰っていった。
レイチェルに何かあったら大変だしな。
しかし・・・一体コレは・・・また魔族が動き出してるのか!?
そうこう思案し先へ進むと人間らしき人物が四人ほど見えてきた。
とにかくあいつらにこの惨状のことを聞かないとな・・・。
マクレーン「ちょっと・・・」
 オレは言葉を詰まらせた。男女四人のうち一人の女の方があまりにも似ていた、生き別れた妹に・・・。
シグマ「なにか?」
ラムダ「・・・・・」
 まさか・・・いやしかしマリーはギザロフの野郎に・・・だがちゃんと確認したワケじゃねぇ。
シグマ「あの・・・」
マクレーン「マリー、なのか・・・?」
ラムダ「え?」
マクレーン「マリーなんだろ?」
ブレンダ「その娘はラムダっていうんだけど」
マクレーン「マリアンデールだってぇ〜!」
アルフレッド「どこをどう間違えればそう聞こえるんでしょうね・・・」
 間違いない、髪の色は変わっちまってるがマリーに違いねえ。
ブレンダ「ねぇ、アンタの知り合いかい?」
ラムダ「知らないわ」
 オレは行方不明だった妹を見つけた喜びをそのまま行動へと移すべく最愛の妹を抱きしめた。
マクレーン「マリー、・・・もう離さないぞ・・・」
アルフレッド「く、苦しいですよ!離してくださいっ!」
マクレーン「一体今までどこ行ってたんだ! ずっと探してたんだぞ!」
シグマ「アルフレッド・・・知り合いなのか?」
アルフレッド「そんなわけないじゃないですか!」
ブレンダ「あんたの本当の名前はマリーって言うんだね〜」
アルフレッド「ち、違いますよ!」
マクレーン「ん? 誰だお前は! 悪いがオレにそんな気はない」
アルフレッド「僕だってそんな気ありませんよっ!」
シグマ「あんた、もしかしてラムダの事知ってるのか?」
マクレーン「知ってるもなにもオレのたった一人の妹だ」
ラムダ「妹?」
シグマ「ラムダ、もしかしたら君のことを知ってるかも知れないぞ」
ラムダ「私のことを?」
マクレーン「記憶がないのか? そうか、ギザロフに何かされたんだな! よしわかった、オレがお前の記憶を取り戻してみせる。
       ここじゃなんだ、その辺の酒場にでも行って話そう!話すことがいっぱいあるんだ!」
 オレは嬉しさのあまり隣の男を無視してマリーを連れて酒場に向かった。
ブレンダ「いっちまったよ、いいのかい?」
シグマ「あぁ、いいさ、見たところ悪人には見えない」
ブレンダ「人がいいね、アンタ」
アルフレッド「そうですかぁ?僕にはそうは見えませんよ」
ブレンダ「きっとアイツは目が悪いんだよ」

フィジットの酒場

 マリーに関した話を次々と話していく、花が好きだったこと、とにかく優しい娘だったこと、他にも・・・。
ラムダ「あの・・・」
マクレーン「なんだ? 何でも聞いてくれ!」
ラムダ「わたしは本当にあなたの妹のマリアンデールなの?」
マクレーン「あぁ、そうだとも、そしてオレはお前の兄、マクレーンだ」
ラムダ「思い出せない・・・」
マクレーン「俺達はギザロフに捕らえられ実験体にされ、離ればなれになった」
ラムダ「・・・・・」
マクレーン「無理に一片に思い出さなくてもいい、ゆっくりと少しずつ思い出していけばいいさ・・・」
ラムダ「・・・ありがとう・・・」
マクレーン「ところでマリー」
ラムダ「なに?」
マクレーン「さっき隣にいた男は誰だ?」
 さっきはマリーの事で頭がいっぱいだったので気にしなかったがあの時マリーの隣にいた男が気になってきた。
まさかマリーの・・・。
ラムダ「彼は私と同じ・・・」
マクレーン「い、いや! わかった! 言わなくてもわかってる・・・反対する気はない。ただ・・・」
ラムダ「・・・」
 なぜか無表情のマリーの口元が揺るいだ、・・・しばし見とれてしまった・・・。
随分と女らしくなったな・・・少し大人びて見える・・・しかしマリーに会えるなんて・・・フィジットに来て良かった・・・。
ん? 何か忘れてやしないか? そ、そうだジェシカさんは!!
マクレーン「マリー、実は探してる人がいるんだがジェシカっていう女性を見なかったか? 赤い服を着た・・」
ラムダ「ジェシカ? 知ってるわ」
マクレーン「そうか! それでジェシカさんは!?」
ラムダ「船でエルサリアに行ったわ・・・」
マクレーン「!!」
 遅かった・・・。
ラムダ「そうガッカリしないで、きっと戻ってくるわ・・・」
マクレーン「・・・」
ラムダ「あなたが想っているなら・・・」
マクレーン「マリー・・・・・」
 そうだ、もう会えなくなるワケじゃない。生きてるかぎりチャンスはあるさ。
結局ジェシカさんに会うことは出来なかった。けど妹を見つけることが出来た。今はそれで満足だ。
それに、また会えるような気がする・・・

 いつか会えるその日のために、オレは男を磨いておくとするか。



                                                   マクレーン ジェシカを尋ねて三千里
                                                                    END


おまけ
村長一家の宴

レイチェル「それじゃ遅いですよ〜」
マクレーン「レ、レイチェル? どうしてここに?」
レイチェル「魔族ならお兄ちゃんに任せて!」
マクレーン「大将が来てるのか?」
 辺りを見回し大将の姿を探す・・・・・。

 いた。

 なにやらすでに息絶えている魔物に斬りかかっていくところだった。

ランディウス「でぇーぃっ!」
 猛然と突っ込んでいく
マクレーン「おーい大将! そいつらはもう片づいてるぜ!」
ランディウス「何ッ!」
 しかし時すでに遅く大将の剣は魔物の身体を真っ二つにしてしまった。
魔物「グギェェェっ!」

マクレーン「は?」
ランディウス「え?」
 魔物はくたばってなかったようだった。それを知ってか知らずか大将は・・・・・。
おそらく大将のことだ・・・。
ランディウス「・・・あ、危なかったな、オレは最初から気がついていたんだよ」
マクレーン「・・・嘘つけ。ところで大将、なんでここに?」
ランディウス「何言ってるんだ?魔物の軍勢に港を襲われてるって言うからきたんじゃないか」
マクレーン「魔物の軍勢?」
 オレはレイチェルの方を見る。
するとレイチェルは何か焦った感じのする仕草をして焦っていた。
レイチェル「あは、ごめんなさい。リッキーも呼んできたんだ」
 笑顔で言う。
何をごめんなさいかはわからないがとにかく話がややこしくなってきた事だけはハッキリしていた。
リッキー「姉上の頼みとあればこのリッキー、どんなことでもいたしましょう!」
マクレーン「おいリッキー活躍する場はないぜ」
リッキー「失敬な! ではあれは何かなマクレーン?」
 今まで倒れていた魔物共がゆっくりと立ち上がってきた
マクレーン「なんてことだ! 大将、急いでこいつらをぶっ倒さないと市民が」
ランディウス「わかってる・・・

・よし、みんな!逃げるぞ!
・とりあえず市民を逃がさないと!
・みんな適当に戦ってくれ


マクレーン「どうした大将! なにを悩んでるんだ?」
ランディウス「い、いや、いい選択肢がないんだ・・・」
リッキー「何を言ってるのです兄上! この大変な時に!」
ランディウス「すまない・・・」
レイチェル「よ〜し! マクレーンさん、リッキー、お兄ちゃん! レイチェルに任せて!」
マクレーン「何かいい手があるのか?」
レイチェル「えへへ、まぁ見てて」
 そう言うとレイチェルはなにやら呪文の詠唱を始めた。
リッキー「おお! さすがは姉上! その魔法なら市民の被害無く魔物を一掃できる!」
マクレーン「そんな凄いのがあるのか?」
 次の瞬間レイチェルの魔法の名が明らかになった
レイチェル「メテオ〜!!」

 巨大な隕石が空から振ってくる、この世の終わりのような雰囲気だ。

マクレーン「って! 被害がないのはゲーム的にだろぉぉぉぉぉ〜!」

巨大な隕石は全ての魔物を吹き飛ばし、全てを終わらせてしまった・・・。

レイチェル「えへへ、あたしも結構やるでしょ」
マクレーン「た、助かったのか・・・・・?」

 どうやら魔物だけが消滅したらしい・・・。一体どうなってるんだよ・・・。

あとがき

はわわ〜!こんにちわ、Lでございます
なんつーか、わけわかんないSSになってしまったっス。
ちょっと性格がオリジナルとは違ってややとぼけてます、まぁ他に連載してる「ぷちるし」と性格がかぶってる
せいでしょうけどね。
おまけは完全にオマケです!気にしないでください。(ホントに・・・)
まぁ10周年だからね。(ワケわからん)