experienced
 優しく俺を呼ぶその声、
 滑るように髪を梳く指先、
 暖かな、腕。

 クラウドと在ると、それらを何時も強く感じる。
 それがとても心地良い。

 抱き締めて欲しい。
 口付けて欲しい。
 夢中になって何もかもを忘れてしまえるほどに、求めて欲しい。

 こんな事を口にしたら、怒るだろうか?
 イケナイ子だとお仕置きされてしまうだろうか。
 されてしまったとしても、オレは一向に構わないのだが。
 否、はっきり言うなら、それで構って貰えるなら幾らでも困惑させる言葉を口にするものを。

 そんな考えに身を委ねていたら、口元が微かに引きつった。
 端から見たら笑みが零れているらしい。
 らしいと言うのは、クラウドがそう言うからだ。

「何考えてるんだ?」
 オレの笑みを見たクラウドが、些か呆れたような表情で問い掛けてくる。
「別に何も」
 嘯いてみると、
「……お前って分かりやすいな」
 苦笑交じりの吐息が声と共に落ちてきた。

 触れるだけの、キス。
 もっと欲しいと強請ってみようか。
 そう思う隙も許さず、想う彼の人はすいと身を引き真顔で囁く。
「折角の休日だ、久々に剣を交えるか?」
 お前の腕が度の程度上がったのか、見たいしな。
 クラウドの言葉に、微睡むような快い感覚が霧散し意識が引き締まる。
 随分と長いこと、彼と刃を交えてはいないから、嬉しい。
 それがまたしても顔に出たのだろうか。
「ホント、お前ってカワイイ奴……」
 オレの顎を捕らえ、先程より強くて深い口づけが齎されて無意識に心が揺さぶられる。
 面と身体に集まる熱を振り切るようにキッと睨み付け、
「オレなどよりお前の方が可愛いだろうが」
 淡々と言って退けてはみたものの。
「言ってくれる。今夜は覚悟しろよ?」
 返る言葉にドクン、と心臓が一際跳ねた。

 相変わらず彼の人は、意地が悪い。
 その内きっと見返してやろうと心に秘め、オレは草薙を手にクラウドの後を追った。









戯れ言

短くてすみませんです。
何となく、セフィの心情系を書いてみたいなぁ、と超突発。
後ろに控えている話をすっ飛ばして、なーにやってるんだ、なんて突っ込まないで下され(爆)

2004.06.27
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