Capricious |
灼熱の日差しも大分落ち着いてきた頃だろうか。 風も快い。 虫の音が周囲から響いてくるのを耳にして、幾分驚く。 この街でまさか季節を感じさせる虫の音を聞くとは思いもよらなかったからだ。 アップタウンでなら生産されたものなら季節物として売り出されているだろうそれも、ダウンタウンでとなると自生の可能性も有り得る。 気紛れとは言え、久方ぶりにミッドガルのスラムを訪れて良かったと、クラウドの口許に微かな笑みが浮かぶ。 少しは大地に活力が戻ってきているのかもしれない。 だとしたら、己が成している事は無意味ではないだろう。 そんなささやかな喜びに浸ったのも束の間。 唐突な爆発音が大気を震わした。 逃げ惑う人々がこちらに向かってくるのをぼんやりと朽ちかけたビルに背を凭れて眺めながら、ポツリと呟く。 「…反神羅のテロ活動か…」 飽きもせず繰り返される、欲望と妄想で彩られた人の世界。 そんな所に身を置く愛し子の顔が脳裏を過ぎる。 「セフィ…」 今お前は何をしている? 慈しむ存在・セフィロスを想い、クラウドが目を伏せかけた時。 彼の視界に銀の煌きが飛び込む。 「セフィロスだ!」 スラムの住人の声がそれに被さる。 恐らくは 反神羅の爆破予告に借り出されたのだろう、神羅の精鋭部隊が駆け抜けていく様を、離れた箇所から見るに至ったクラウドは踵を返す。 意図せず目にすることになった愛し子を、後で労ってやろうと思いながら、彼はその場を立ち去った。 その夜。 突然現れたばかりか、何故か自分の好きなものばかりが並ぶ食卓とクラウドを交互に見詰めたセフィロスは、驚きながらも喜びに心を満たし、好物に舌鼓を打ち、想う人の腕に身を委ねたのだった。 |
戯れ言 やーなんつーか、唐突にまったりとクラウドの心情とか書いてみたくなった訳です。 まさにタイトル通り、気紛れっつーことでひとつ。 2004.09.17 |
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