終章


 邪悪崩壊後。
 静かな佇まいを見せる街の外れに在る墓地の、とある墓標の前に一人の若者が立っていた。
 永遠の眠りについた存在が、かつて好んでいた花を一輪、墓標に添えると若者は呟いた。
「…グレイ、俺はあいつを守り通した…」
 真紅の髪の、光輝の王子を。
 何より慈しんだ存在を。
「だが、もうあいつの側に居ることは適わない」
 戦いの無くなった世界に、王国の騎士で無い者の居る場所は無い。
 いや、仮に在ったとしても、多分耐え切れまい。
 あの愛しい存在を、今度こそ諦めねばならないのだから。
「…レディンは王位を継承した。もはや、あいつ自身でさえ自分のものではなくなったのだ…」
 その存在を腕にする事は、出来まい。
 情けなくも、苦笑と一緒に愚痴を零しに来た俺を、貴様は嘲笑うか?
 若者の脳裏に、黄金の髪の端正な面を持つ男の、揶揄するような冷たい嘲笑が浮かび、何故かうんざりと苦い微笑みを零した。
「だから、貴様に別れを告げに来た」
 もうここに来る事も無いだろう。
 何れ地獄で会い見えよう。
「さらばだ」
 漆黒の髪を翻し、若者は踵を返すと墓地の外で待つ、白亜の巨躯を誇る竜に飛び乗る。
 と、同時に白竜は急速に天へ上昇し、抜けるように青い空に紛れ、消え失せた。

END



■後書き■
如何でしたか?
実に上下ニ段組小説丸32P分に及ぶお話でございます(笑)
今回、WEB掲載にあたって、結構あちこち修正、修復+α等々沢山したです。

当時と何が違うって、
グレイさんの愛した存在が、ぜんっぜん違う(笑)
その辺り、もしも本を持っているツワモノがおられましたら見比べてみると笑えますよ〜ん♪
あ、それから文章の稚拙さはご愛嬌。
流石にこの量を全編直すのはちっとばかし無理なので。
ま、当時のわしの技量精一杯ってところで納得して下さると嬉しいです。
何たって8年前ですから…(爆死)

それにしても、嘘八百もいい所な話ですな(笑)
如何にも同人らしくてイイ味出してます。
ほほほ(爆)


■BACK ATTACK
初出/BACK ATTACK・総集編(1993.8)

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