その漢、凶悪につき…
|
「はあ・・・」 疲労が全身を纏う。 イルミニア大陸全土を掌握するに至った、未だ若干15の齢を迎えたばかりのセイラムの少年王は、配下の者たちが立ち去るを見送り、重い足取りで玉座から離れた。 明日からは、いよいよ世界の覇権のすべてを得るべく、ディベルニア制圧に乗り出すのだ。 その軍議を終えた覇王足り得る存在にのしかかる重圧は、おそらく誰にも理解などしてはもらえまい。 ひとりで乗り越えなければならない、重み。 けれど、自分が一体誰に寄り掛かることを許されるのか? 「ふ・・・」 幼さに似合わぬ嘲笑が無意識に漏れ出た時だった。 「タジ・・・どうしたのですか?」 唐突な声が掛けられたのは。 見れば、長身痩躯な姿に似合ったつややかな白銀の長髪を編み、ゆったりと背に流した存在が、玉間の出入口にたたずんでいた。 「サリューン・・・」 名を呼び、少年王は一瞬だけ切ない眼差しを向けた後、何事も無かったように常の明るい笑みを面に張り付かせた。 その途端。 サリューンの端正な面に渋いものが浮かび上がった。 「・・・少しお時間をいただけますか?」 その声音に確かな堅さを感じたタジは、微かな苦笑をもらすと頷いた。 「ああ、うん・・少しならば・・」 応えて着意を翻し、歩き出しながら顎で示す。 「俺の部屋で、いいか?」 「はい」 同意を得た事で安堵の息を漏らしたサリューンは、無言で自室へ向かうタジの後を追うのだった。 サイドボードからグラスをふたつ取り出して、そこにワインが注がれる。 一方をサリューンの前に置き、もう一方をタジは煽った。 「・・・タジ!」 仮にも王族。たしなむ程度には酒を口にする事は在る少年だったが、そんな様をサリューンは目にした事はそれまでに一度として無かった。 それ故の驚きが、とっさに少年王の手からグラスを奪う行為に転じたのも、無理からぬことだろう。 「何を・・・ッ!!」 サリューンの行動に目を見開くと、タジは憤りそのままの声を放つ。 が、その声には耳も傾けず、サリューンはタジの手を軽々と捻り上げた。 「お前は、ひとりじゃない!」 「・・・ッ」 世界の命運を担わされた、唯一人の王。 その孤独が彼には解ると言うのか。 解るものか、この重みが。 だから吠えた。 逃れるかのように。 「何が・・解るって言うんだよッ!」 必死の叫びを放つタジをサリューンは不意に抱き締める。 「・・・解る」 お前の心にのしかかる重圧が。 私には、解る。 声にこそなってはいないけれど、タジには聞こえた。 聞こえたような気がした。 「サリューン・・・」 震える唇で、名を呼ぶ。 途端。 タジの身体は抱き上げられた。 「一人では、無い・・・」 囁きと同時に少年の身体は寝台の上に降ろされた。 するすると、白く長い指が木目の細かい肌を滑る。 その都度、未だ幼い肢体がぴくぴくと跳ねる。 「あ・・んん・・」 懸命に堪えているのだろう、セイラムの少年王の喉が反る。 その吐息交じりの声に触発されたのか、覆い被さっていたサリューンが心持ち身を起こし、タジの首筋に唇を寄せた。 「く・・ぅんん・・ッ」 小犬が鳴くような小さな矯声が、タジの引き結んでいた唇から溢れて止まらない。 シーツを握る指先にぎゅっと力をこめて、思わず顔を背ける様が可愛らしくて、もっと苛めたくなる。 舌先で軽く唇を嘗めた後、サリューンの舌先が緩々と薄い胸の中心で淡く色づく尖りに辿り着く。 「ひゃあ・・ん」 一際高い喘ぎが、喉をついた。 胸部に与えられる刺激の強さに、競り上がる喘ぎがあふれて止まらない。 「ん・・んん・・ッ」 だから。 切ない吐息を己の指をくわえる事で、漏らすまいと努力するタジの様子に気が付いたサリューンは一旦尖りから唇を離すと、僅かに身を起こすとタジの指を軽く引き離し、その唇に己のそれを重ねて軽く吸う。 「う・・ふぅん・・」 甘い口付けに、緊張していた肉体が弛緩する。 すがるように揺々とタジの手がサリューンの背に伸ばされて、しがみつく。 快い仕草に満足したサリューンの口元に柔らかな笑みか滲んだのも束の間。 彼の腕はするりと少年王の腰を持ち上げ、自身の脚を差し入れ軽くタジの背を反らせた。 「あ・・え・・?」 驚いたタジがサリューンを伺おうとした瞬間だった。 自身の中心に、緩く彼の人の白く長い指が絡み付いてきたのは。 「ひゃうぅん・・ッ」 溜まらすタジの喉が反る。 身体の中心が激しく熱を発しているのか、直接知られる恥辱に身が震える。 「やぁあ・・、サリューン、も、やめ・・」 けれど。 「くっくっ・・」 切なく絞り出された哀願に、応えたのは低い笑い声だった。 絡められるサリューンの、指のもたらす微妙な蠢きが、タジの全身に強烈な快楽を駆け巡らせる。 こんな時はいつも、どうしていいのか解らなくて、少年の首は唯、強く左右に振られるのみだ。 「あ・・あぁんん、はぁ・・・」 下肢から脳天へ突き抜ける、得も言えぬ快感に全身が痺れ、もはや声を抑えることも出来ない。 そうして、限界に達した幼い性は、出口を求めて放たれる。 「ん・・ッ、あ・・はぁ・・んん」 脱力し弛緩しきった肉体の熱が、急速に引いていくが、それが終でないことは誰よりもタジ自身が良く知っている。 その証拠に。 サリューンは、己の指を濡らすタジの滴りを拭うことなく、未だ僅かに浮かせたままの少年の秘所に幾分強引に潜り込ませて来たのだから。 「はぁんん、ぃあ・・ッ」 潜り込む異物の感覚に、たまらす身を捻って逃れようとするが、それを傍観しているサリューンではなかった。 「ふ・・ッ」 可愛らしいことだ、と言わんばかりの薄笑の息を漏らし、サリューンはタジの耳だに唇を食ませ、軽く甘噛む。 「あッ、くふぅうう・・」 途端。 少年の全身を電流か走り抜け、僅かな抵抗も容易く封じられてしまう。 「いけない子だな、タジ・・・」 舌先で耳だを嘗めるように囁けば、タジの背筋はそれだけで反り返る。 「い、ぢわるだ・・・貴方、は・・・ぁんんッ」 顔を背けようとして叶わず、諦めたかのようにタジの両手がサリューンにしがみつく。 「・・いまごろ、わかったのか?」 低い声音が雫れ落ちた。 くねるように蠢く指の律動が、緩く、時に強く、タジを翻弄する。 最初は唯一本のみだったそれが、続いて2本にと増え、更に肉襞を擦り上げて行く。 すがりつく手に力が篭り、両脚は痙攣したかのようにビクビクと引きつっていた。 「あ・・ゃだぁあ・・」 性に不慣れな少年王の、喘ぎが高まる。 それを快い音楽でも聴いているかの如くに、サリューンは耳を澄まし聴き惚れる。 これは、自分だけが聴いて良い、音。 他の何者も、耳にしてはならない、音。 そうだ。 己のみが許されたものなのだ。 サリューンの面に愉悦が走る。 「ひぃいん・・・ッ」 窮まるタジの声に触発される。 熱い。 自身もまた、限界が迫っている。 「・・・よいな?」 「ん・・・」 する、と指を引き抜き耳もとに囁くと、既に眦を濡らした少年王は、潤む眼差しを見開きコクリと小さく頷いた。 圧迫と蠢きとが失せて、微かな息を吐き出したその瞬間を狙い、サリューンは細い両脚を軽く持ち上げると、幾分強引にタジを穿った。 「ゃぁあああーッ」 押し入ってくる灼熱に、一際高い矯声が喉を突いた。 |
…ここまでが、ソフィア様のサイトの闇掲示板に連載したお話(笑) この続きは、何れまた…って何時だよ、自分(爆死) ▲ 2001.02.07のコメント |